(↑日足)
(↑60分足)
(↑週足)
引用元:外為どっとコム 公式サイト
ロイター記事備忘録
コラム:米朝戦争リスクで「株売り」は賢明
[14日 ロイター] – ファンドマネジャーは、ターゲットとするベンチマーク指数の動きから逸れないようにすることで報酬を得ている。このことが、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発を巡り米国との緊張が高まっているにもかかわらず、金融市場が奇妙なほど穏やかな反応を見せている大きな理由の1つだ。
米国と北朝鮮が戦争に突入した場合、株式の大暴落が生じるだろうが、どれほど優秀で人間的であっても、顧客をその種の衝撃から守ることで報酬を得ているファンドマネジャーなど存在しない。
彼ら自身も一般人同様、何が起きるか予測できる立場にないというだけでなく、もし戦争の勃発に備えるため、最も安全で安心できる選択肢として運用資産を売り払おうとすれば、自らのキャリアやポートフォリオを、不当に大きなリスクにさらすことになる。
トランプ大統領が先週「炎と怒り」による報復を警告し、北朝鮮がグアム近海に向けたミサイル発射計画の策定を表明したことで、世界的な株安が起きたが、下落は比較的穏やかなものだった。MSCI世界株価指数.MIWD00000PUSは最大1.5%下げ、韓国の総合株価指数.KS11は一時4%、S&P総合500種.SPXは約2%下落。だが、米朝間の挑発がそれ以上続かなかったことで、11日と週明けの14日には市況は回復した。
核戦争がもたらす想像を絶する被害、そして、たとえ通常兵器による戦争であっても、経済混乱と甚大な人的被害が伴う可能性が高いことを考えれば、こうした下落はさほど大きな動きとは言えないだろう。
市場は常に効率的に動いているとする「効率的市場仮説」を巡る誤解に基づいて、人々はこのように想像してしまいがちだ。ある出来事に対する市場の反応は、その出来事によって生じる影響、そして今後の出来事の発生確率の分布の変化について、多少なりとも確かな手掛りを与えてくれる、と。つまり、恐ろしい結果が生じる可能性が高まれば、株式市場は下落するはずだというのだ。
米ジョージ・メイソン大学の経済学者アレックス・タバロック氏は、核兵器による大量虐殺は、株式の売却益で購入可能なあらゆるモノの価値を低下させてしまうと指摘する。
「結論としては、株式を売り払ったとしても、実際には核戦争への対応という意味では役に立たないし、それによって核戦争勃発に至るまでの生活が大きく改善されるわけですらない。問題は市場ではないのだ」とタバロック氏は記している。
「市場で起こすどんな行動も無意味、もしくは高いコストを伴う以上、核戦争の可能性が高まったことを知ったところで、ほとんど役に立たない情報なのだ。無益な情報は無視して、その情報が存在しなかったかのように株式の売買に臨む方がましだ」と同氏は主張する。
<ベンチマークにこだわる習性>
これは優れたアドバイスだ。
というのも、トランプ大統領が今後どう動くか、米国や同国機関の反応、もしくは北朝鮮が進む道について、正しく予想できると自信を持って考えられる人など、ほとんどいないからだ。
ヘッジファンドや年金基金を運用する立場にある誰かが、自分のスキルを有効かつ巧みに活用して核戦争の勃発に賭ける、などという発想は馬鹿げている。
1962年のキューバ危機の際には、米国と旧ソ連がほぼ確実に「相互確証破壊」を伴う戦争に(今日のわれわれよりもはるかに)近づいたが、そのときにも株式市場ではほとんど何も起きなかった。
キューバ危機のあいだ、株価はほとんど動かず約1%下落しただけで、危機解消後は3.5%上昇した。対照的に、その年の初めにケネディ大統領がUSスチールによる値上げを批判したことの方が、はるかに大きな影響を与えている。
投資家であり人間であるわれわれは、大惨事をうまく予測できないし、それによって利益を得ることも困難だ。だからわれわれは、本能的にもっと影響の小さい問題に意識を集中させる。
そして金融市場ではいつものことだが、何が起きているのかを理解するためには、市場仲介者がどのような仕組みで報酬を得ているのかを理解しなければならない。
きわめて悲惨な状況への備えを提案する財務アドバイスの市場も存在する。だがその市場は、ヘッジファンドや投資信託を販売するのではなく、AMラジオを通じて、金貨や非常食を販売するものだ。
大多数のアクティブファンドやヘッジファンドの運用担当者は実質的に、確率は低いが影響の大きい出来事を予想して動くのではなく、ベンチマークを上回ることで報酬を得ているのである。
戦争リスクが高まっているときに運用資産を売却してベンチマークから乖離(かいり)することは、ファンドマネジャーにとって、非常に大きなキャリアリスクを意味する。結果的に戦争が勃発しなければ解雇されても不思議はない。実際に戦争が起きたとしても、どうだろうか。
ここで重要なのは、緊張が高まるなかで市場が平穏だからといって、安心するべきではないという点だ。
株式市場が経済そのものを体現しているわけではないのと同様、それは決して人類そのものと同じではない。そして、事態が急迫してきたとき、私たちの将来の運命を占うバロメーターとして、株式市場はまったく参考にならないのだ。
*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。
北朝鮮製の衣料品が支える「メイド・イン・チャイナ」
[丹東(中国) 13日 ロイター] – 中国の衣料品メーカーは、より安い労働力が享受できる北朝鮮での製造を増やしており、「メイド・イン・チャイナ」のタグが付けられた北朝鮮製商品が、世界中に輸出されている。
世界で販売する安価な衣料品を製造するため、国際的孤立を深める隣国を利用する中国企業の実態が、国境沿いにある中国遼寧省丹東の貿易業者らに対するロイターの取材によって明らかになった。
これは、北朝鮮のミサイル・核プログラムに対する国連制裁強化が同国へのドアを次々と閉ざしている一方で、開かれた扉もあることを示している。国連制裁には、繊維輸出の禁止は含まれていない。
「世界中から注文がきている」。中朝貿易のほとんどの物資が経由する丹東で、韓国系中国人ビジネスマンはそう語った。他の多くの人々と同じく、神経質な話題であることから、匿名を条件に取材に応じた。
丹東には数十の代理業者が存在し、中国の衣料品サプライヤーと米国、欧州、日本、韓国、カナダ、ロシアのバイヤーのあいだを仲介しているという。「中国のサプライヤーに、顧客に正直に話す気があるかを問い合わせている。衣料品を購入した消費者が、北朝鮮で作られたものだと気づかないこともある。とても慎重を要する」
昨年の北朝鮮輸出において、繊維製品は石炭や他の鉱物に次いで2番目に大きく、計7億5200万ドル(約834億円)に上った、と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)のデータは示している。輸出全体の総額は、前年比4.6%増の28億2000万ドルだった。
今月採択された新たな国連制裁決議では、石炭の輸出を全面的に禁止している。
北朝鮮の盛んな繊維産業は、困窮する同国が2006年に初めて核実験を実施して以来、国連から科されてきた一連の制裁措置に対し、市場改革の進展も限られるなか、いかに適応してきたかを物語っている。
同時に、トランプ米大統領が中国に対し、北朝鮮の兵器プログラム抑制に向けた努力を要請しているにもかかわらず、いまだ北朝鮮が経済的ライフラインとして中国に依存している実態も示している。
中国の対朝輸出は、国連の禁輸リストに含まれていない織物材料や他の労働集約財などがけん引し、今年上半期でほぼ3割膨らみ16億7000万ドルに達した、と中国関税当局の報道官が語った。
中国のサプライヤーは、衣料品が集められ輸出される丹東を経由して、北朝鮮の製造工場に布地や他の原材料を送っている。
<活況を呈する工場>
豪スポーツブランド、リップカールは昨年、「メイド・イン・チャイナ」とタグ付けされた同社のスキー用品の一部が、実際には北朝鮮の工場で製造されていたとして謝罪。「未認可の下請け」に外部委託した不正な卸売業者を非難した。
だが丹東の取引業者や代理業者は、それは広く行われている慣行だと口をそろえる。
北朝鮮で衣料品を製造することにより最大75%節約できる、と首都平壌に住む中国人取引業者は主張する。
一部の北朝鮮の工場は、丹東から国境を渡ってすぐの新義州市にある。平壌郊外にも工場がある。完成品は北朝鮮から中国の港へ直接輸送され、そこから世界各地に輸出されることが多いと中国人の取引業者らは話す。
北朝鮮には約15の衣類を手掛ける大手輸出企業が存在し、それぞれが国内数カ所に工場を稼働しているほか、中規模企業も数十社ある、と外国企業の北朝鮮ビジネスを手助けするオランダのコンサルタント会社GPIは説明する。
北朝鮮にある工場は全て国有で、なかでも繊維工場は活況のようだ。
「われわれの衣料も北朝鮮で製造しようと試みているが、現在、工場に全く空きがない」と、丹東から列車で2時間の場所にある港湾都市大連の工場で、韓国系中国人の女性は話す。
「北朝鮮の工員たちは中国人と比べ、1日当たり3割多く製造できる」と説明。「北朝鮮では、工員は行きたいときにトイレに行くこともできない。製造ライン全体が遅れてしまうと考えるから」
「彼らは、ただカネのために働く中国の工員とは違う。北朝鮮人は異なる姿勢だ。国のため、指導者のために働いていると信じている」
また、彼ら北朝鮮工員の賃金は、他のアジア諸国のそれをはるかに下回っている。
韓国との国境付近にあり、現在は閉鎖されている開城(ケソン)工業団地で働く北朝鮮人の賃金は、月に最低約75ドル、平均で約160ドルだった。一方、中国の平均的な工員の賃金は同450─750ドル。ケソンは韓国との協力事業であり、北朝鮮での一般的な水準よりかなり高い給与体系となっているが、これは韓国との取り決めによるものだ。
中国の衣料メーカーは、バングラデシュやベトナム、カンボジアに自社工場を移転させる一方で、北朝鮮工場の利用を加速させている。
「中国の賃金はもう高過ぎる。非常に多くの発注が北朝鮮に向かうのも無理からぬことだ」と、丹東の繊維産業で働く韓国系中国人女性は言う。
中国の繊維企業はまた、国内で労働単価の安い北朝鮮人を数多く雇っている。
北朝鮮は、とりわけ国連制裁によって輸出収入源の一部が断たれて以来、外貨獲得の手段として海外で働く北朝鮮人に頼っている。彼らの賃金の大半は政府に送金され、同国の野心的なミサイル・核プログラムの資金として使われると、国連は指摘している。
北朝鮮に対して今月科された新たな国連制裁は、国外で働く北朝鮮人の数を増やすことを各国に禁止している。
中国は国内工場や飲食店で働く北朝鮮人の数を公表していないものの、2─3年前のピークからは減少している、と北京にある中国人民大学の北朝鮮専門家、成曉河氏は指摘する。
「北朝鮮人を雇うのは面倒なこと」と語るのは、前出の大連でビジネスを行う韓国系中国人女性だ。「正しい段取りが必要だ。居住スペースは完全に隔離されなくてはならず、毎日授業が受けられる教室も提供しなければならない。彼らは医師や看護師や料理人、そして毎日北朝鮮のイデオロギーを教える教師を連れてくる」
ロイターが訪れた丹東のある衣料品工場では、北朝鮮人40人を雇っていた。彼らは、サプライチェーンに厳しく、北朝鮮国内での製造をはっきりと拒否する顧客向けの、比較的小さな注文に対応している。
中国工場で働く北朝鮮人の賃金は、中国人の平均額の半分程度となる約2000元(約3万3000円)だと、工場主は語った。
北朝鮮人の工員は、賃金の約3分の1を手元に置くことを許されるが、残りは北朝鮮の政府関係者に渡されるという。工場の一般的な勤務時間は、午前7時半から午後10時ごろまでだ。
工員は全員が女性で、ピンクと黒の制服を着て、4列あるミシンの前に座り、委託された冬用のジャケットを作っている。頭上には、青い太字で「清潔」「整頓」と中国語で書かれている。工場のメインフロアは、ミシンが動くけたたましい音以外、静まり返っていた。
(Sue-Lin Wong記者、Philip Wen記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
引用元:ロイター・ニュース
筆者所感:ファストファッションについて
そもそもファストファッションとは何だろうか?
ファストファッション (fast fashion) は、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態。
「早くて安い」ファストフードになぞらえて、2000年代半ば頃から呼ばれるようになった。2009年新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれる。
価格を抑えるために、製造小売業 (SPA) の形態をとっている会社が多く、2015年までの10年で、日本国内では外資系のファストファッションの店舗数が倍になっており、日本人の着ている衣料品の45%が安価な衣類という状況になっている。
手頃な価格でお洒落を楽しめるとされる一方で、中国やベトナム、バングラデシュなど、衣類の生産を受け持つ発展途上国の工場や、ショップで働く従業員の人権問題、また、工場を置いている国での環境汚染問題などがたびたびメディアで取り上げられ、悪しき大量消費社会の象徴と批判されたり、世界的な経済格差拡大と貧困層増大で、衣類を買おうと思っても金がなく、安価なファストファッションの衣類しか選択肢がない現状に対する批判なども出始めている。
引用元:ウィキペディア
ここで注目すべきは、発展途上国の工場などの人権問題でしょう。
このサイトでそのことを議論するつもりはありませんが、今日の経済状況のスクラップで表現されるように、世界の工場と呼ばれる、中国の下請けをしている組織もあるということを認識しておきたい。
wikiでもあるように、人権問題も問題だが、環境汚染までまきおこしていることにも注目しなければならない。
金額が安いものでも、誰かが頑張って作った商品であることを忘れないようにしたい。
彼、彼女らの賃金と労働(頑張り)は同じ人間なのだから決して安くは無いはず。
安いからそれに飛びつくという心理はわかります。だからといって、いいのか悪いのかも理解できない人にブランド物を買えとも言いません。
ただ、誰かが頑張っても儲からないサイクルを創っているのは、安物買いであることを知っておくべきです。
もしあなたが自分は頑張っていると感じるなら、自分への褒美のつもりでファストファッション以外の服を買ってあげるのはどうでしょう。
2年でも3年でもつけられる服なら、経済的なコストも下がります。
しかも自分が気に入って買った服なら、簡単に捨てないし、メンテナンスにも気を使うでしょう。
直接的にそれが安い賃金で働いている人のためになるともいえませんが、先進国に住人が価値観を変えてこそ、お金や労働への正当な評価につながると思います。